2011年2月21日月曜日

Art Nouveau






ビアズリー

クリムト
ミュシャ

 アール・ヌーヴォーは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパを中心に開花した国際的な美術運動である。「新しい芸術」を意味する。花や植物などの有機的なモチーフや自由曲線の組み合わせによる従来の様式に囚われない装飾性や、鉄やガラスといった当時の新素材の利用などが特徴。分野としては建築、工芸品、グラフィックデザインなど多岐に亘った。
 第一次世界大戦を境に、装飾を否定する低コストなモダンデザインが普及するようになると、アール・デコへの移行が起き、アール・ヌーヴォーは世紀末の退廃的なデザインだとして美術史上もほとんど顧みられなくなった。しかし、1960年代のアメリカでアール・ヌーヴォーのリバイバルが起こって以降、その豊かな装飾性、個性的な造形の再評価が進んでおり、新古典主義とモダニズムの架け橋と考えられるようになった。

2011年2月20日日曜日

Arts and Crafts Movement


モリス

 アーツ・アンド・クラフツは、イギリスの詩人、思想家、デザイナーであるウィリアム・モリス(1834年-1896年)が主導したデザイン運動(アーツ・アンド・クラフツ運動)である。美術工芸運動と表記されることもある。
 ヴィクトリア朝の時代、産業革命の結果として大量生産による安価な、しかし粗悪な商品があふれていた。モリスはこうした状況を批判して、中世の手仕事に帰り、生活と芸術を統一することを主張した。モリス商会を設立し、装飾された書籍(ケルムスコット・プレス)やインテリア製品(壁紙家具、ステンドグラス)などを製作した。
 モリスの運動自体は、結局高価な製品を作ることになってしまい、裕福な階層にしか使えなかったという批判もあるが、生活芸術を一致させようとしたモリスの思想は各国にも大きな刺激を与え、アール・ヌーヴォーウィーン分離派ユーゲント・シュティールなど各国の美術運動にその影響が見られる。日本の柳宗悦もモリスの運動に共感を寄せ、1929年、かつてモリスが活動していたケルムスコットを訪れた。柳の民芸運動は日本独自のものであるが、トルストイの近代芸術批判の影響から出発し、アーツ・アンド・クラフツの影響も見られる。