モリス |
アーツ・アンド・クラフツは、イギリスの詩人、思想家、デザイナーであるウィリアム・モリス(1834年-1896年)が主導したデザイン運動(アーツ・アンド・クラフツ運動)である。美術工芸運動と表記されることもある。
ヴィクトリア朝の時代、産業革命の結果として大量生産による安価な、しかし粗悪な商品があふれていた。モリスはこうした状況を批判して、中世の手仕事に帰り、生活と芸術を統一することを主張した。モリス商会を設立し、装飾された書籍(ケルムスコット・プレス)やインテリア製品(壁紙や家具、ステンドグラス)などを製作した。
モリスの運動自体は、結局高価な製品を作ることになってしまい、裕福な階層にしか使えなかったという批判もあるが、生活と芸術を一致させようとしたモリスの思想は各国にも大きな刺激を与え、アール・ヌーヴォー、ウィーン分離派、ユーゲント・シュティールなど各国の美術運動にその影響が見られる。日本の柳宗悦もモリスの運動に共感を寄せ、1929年、かつてモリスが活動していたケルムスコットを訪れた。柳の民芸運動は日本独自のものであるが、トルストイの近代芸術批判の影響から出発し、アーツ・アンド・クラフツの影響も見られる。
0 件のコメント:
コメントを投稿