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シーレは、年長の画家クリムトとは師弟というよりは生涯を通じた友人という関係にあった。エロスが作品の重要な要素になっている点はシーレとクリムトに共通しているが、作風の面では両者はむしろ対照的である。
世紀末の妖しい美をたたえた女性像を描き、金色を多用した装飾的な画面を創造したクリムトは「表現対象としての自分自身には興味がない」として自画像をほとんど残さなかった。
これに対して、シーレの関心はどこまでも自分の内部へと向かい、多くの自画像を残した。自画像を含むシーレの人物像の多くは激しくデフォルメされ、身をよじり、内面の苦悩や欲望をむき出しにしている。自慰にふける自画像、陰部をあからさまに露出した女性像などの大胆な表現は2今日の鑑賞者にも驚きを与える。確かなデッサン力に裏付けられたシーレの作品は、現代人が見て見ぬ振りをする…そんな好奇心をかき立てる。
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